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7時
母親の電話に起こされ今、夜明け。昨日、実家が火事になった、燃えていたのはマンションの4階で1階に住んでる僕の家族は何ともなかったのだけど、もしかしたら引越しすることになるかもしれないらしい、私の実家が無くなる。7人家族なのに貧乏だから狭い家で家族の仲悪いのに人口密度が高くてストレスが溜まる日々だったものであんまり良い思い出は無いものの、やっぱり、寂しい!思い出してみよう、隣に住んでたセクシーなお姉さん、2階に住んでたキレイな同級生、3階に住んでた可愛い後輩女の子、4階に住んでた面倒見の良い先輩女子、まあ、僕の思い出って言ったら女性しか無いわけで(片思い率98%だけど!)、思いのよすがが燃え消えちゃうのは表情が一生俺の心から失われるってことだぜ。本多孝好のMISSING (双葉文庫)の中で主人公が『何で恋人の写真を持ってるかって?好きだからじゃない、顔を忘れちゃうからだよ』みたいなことを言ってた、僕の小さい頃からの悩みはそれだった。どうしてかわからない、僕は好きになった女性の顔を覚えることが出来ない、中学校の頃に好きだった山口さんの顔はとても可愛かったはずなんだけど思い出そうとしたら笑い声しか聞こえてこなくて笑顔には影、代わりに福笑いの顔、違う、すっごい可愛かったんだ!高校時代に少しだけ付き合ってたあの子(名前も顔も忘れた!)、坂道を登る記憶しかない、僕じゃない人と結婚してしまった昔の彼女の顔も思い出せやしない、あの頃の記憶も、最近会ったのに今の顔の記憶も、陰が入る、笑顔だって理解してるのに顔が無い。美化はしてないけど妄想は続く、その中であなた方は私の都合良く動く、手に入れたとしても手の中に収めることは出来ない故、妄想は長引く。それなのかなあ?それなのかなあ?想いが強すぎて忘れる?だとしたら、まあ、仕方ないんだけど、自分は不誠実なんじゃないかって思っちゃうことは止まらない、で、あ、うーん、当然の如く、僕はいまだに自分の彼女の顔を覚えていない。
読了
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