5時

友人に借りた小説を一気に読みきって今、夜明け。カレーライスを食っている。リリーフランキーさんの自伝小説を読んで大泣きしてしまった。前半部はリリーさんの少年時代や青春時代が綴られてて面白いことは面白いんだけどリリーさんにしてはきれいな表現に毒が無く惹きつける文章じゃなくて手を抜いたのかなあってだらだらと読んでいたのだけど後半部、九州に一人で住む母親が体が弱ってきて一人にしちゃいけないと思った30歳過ぎのリリーさんが母親を東京に呼んで一緒に暮らす描写が温かすぎていつかくる悲しい結末のことを思いながら読むと涙が止まらなくなった、伏線なんて必要ないほど僕らは死を何度も見ていてわからなくなっていたりする。僕も母親のことをオカンと呼んでいる。オカンはリリーさんの母親と似たところがあって、我が家は親父がギャンブルで作った借金が重なって貧乏だったのだけど母親はご飯だけは何があってもしっかり作ってくれた、玄関に借金の取立ての人がやってきていても奥の食卓では何品ものオカズが並んでて僕は取立ての怒鳴り声にびびりながらもしっかりと食事を取ってた記憶がある、オカンは『私は残り物食べるから、しっかり食べなさい』と言いながら台所の隅でいつもお茶漬けを食べてた、だって残り物食べるとか言ってるのに僕らがご飯を残したら怒るんだもの、なー、オカンすごいなあ、おかげで俺貧乏人なのに肥満児だったよ。天然ボケで何処か間の抜けた意見ばっか言ってたオカンだけど、僕ら家族を飢えさせなかったのは凄いと思う、借金返すために必死に働いて必死にご飯作って、僕はそんな母親を見て育ったから食事をとても大事にしている、美味しそうにご飯を食べる人がとても好きだ。東京で一人暮らしを始めたばかりはお金が無くて明日食べる米がなくても友達や彼女とご飯食べる時は無理してでもお金作ってたなあ。家族が苦手だったのと、少しでも母親に負担をかけたくなくて神戸の実家を飛び出して生活費と学費を全部自分で払って東京に住み始めてから1年半、今では生活に余裕あるけど、最初の頃は辛かったものなあ、財布にお金が無くて絶望しながら銀行で残高チェックしてたら凄いお金が入ってて、振込み人の名前見たらオカンで、笹塚の三井住友銀行でボロボロ泣いたのを思い出した、そのお金は結局使わずに日雇いのバイトで何とか生き延びてた、でもそのお金の振込みという事実が無かったら僕はやる気無くして死人同然になってたんじゃないかなあって今なら思える、オカンの大して美味しくない料理が優しすぎて好き過ぎて思い出せて頑張れた。リリーさんの母親の元にはたくさんの若者が集まってくるんだけど、その関係を繋いでたのは食事だったわけで、『好きな食べ物は?』と聞かれた若者が『リリーさんのお母さんが作ったご飯』と答えるシーンがあって、なんて素敵な言葉なんだと思って僕は泣いた、これ以上の感謝の言葉は無いなあ、こんな言葉を自然とオカンに言えたらいいなあと思うけど俺は言わないんじゃないかなあ、負担かけちゃいけないって俺一人で頑張ろうとしたって絶対に応援をやめてくれないんオカンだから俺は素直に受け取った方がオカンも嬉しいんじゃないかってわかってるんだけどどうしても素直になれないよ、オカン頑張りすぎだもの、楽していいのに、なー、絶対に子供をほっておいて楽しようとしない母親が俺を産んでくれて良かったなあ、楽してくれていいけどあの人は譲らない気がするから俺も将来子供が生まれたら自分の子供のために必死に頑張るっていう親孝行を考えている、それしか親孝行の方法が見つからないんだもの。



読了

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

あざとい、と評することも出来るけど、そんなことしたら僕は人の温かさを信じられなくなる、リリーさんは文章の技術なんかどうでもよくて熱い心情をぶつけてきた、心が裸で受け取る側の僕らも心は裸にしてさらけ出さなきゃ、僕はとても泣いた。

ヴィンランド・サガ(2) (講談社コミックス)

ヴィンランド・サガ(2) (講談社コミックス)

1対多数の攻防、悲劇、とてもかっこよくて好きだ、けど、虚しくなったりもする。

シグルイ 5 (チャンピオンREDコミックス)

シグルイ 5 (チャンピオンREDコミックス)

狂気を正常な目線で見れるかどうか僕は見れない。

リアル 5 (ヤングジャンプコミックス)

リアル 5 (ヤングジャンプコミックス)

良い物語を作る人ってのは人間関係の距離感を描くのは上手い人ってことだと思うなあ。