世界中の人に自慢したいよ


最後のサヨナラサヨナラサヨナラ

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・俺、長治さん好きなんだ。この人をテレビで見てた頃は俺も小さかったから、よくわかってたんだけど、何となく好きだった。

・何で好きだったんだろうなあって考えたら、映画評論家の中で一番『映画を楽しそうに語ってる』ってイメージがあったからかなあ。自分の好きなものを楽しそうに語ってる人はすごく素敵だね。

・長治さんと言えばチャップリンって印象だなあ。

・僕は『最新技術を駆使しました!』とかいうハリウッド超大作みたいなわかりやすい商業映画が大好きで、昔の映画はあんまり見ないんだけど、チャップリンは見とかなきゃなあって思って見てた。

・マイナーで、文学的とか芸術的とか、そういう匂いがする映画もたくさん見るけど、本当はエンターテイメントばりばりの映画が好き。なんでかわからないけど『お前は小難しい映画ばかり好む』って思われるみたいなんだけどねえ、理屈っぽいからかな。俺の趣味はすごく大衆的だぜ、文学とかわからないぜ、見るけど。

・当たり前の事かもしれないけど、僕が好きな映画のほとんどは『僕の好きな人が好きって言ってる映画』だなあ。感想とかまで、その人に引っ張られる。あの人が良いって言ってるんだから良いに決まってる!って思っちゃう。自分の意見が希薄なんだ。

・長治さんが好きな映画は見ておかないとね。

チャップリンってすごく優しい人なのかなあって思ってる、それで苦悩してたのかなあ。『独裁者』っていうヒットラーを皮肉った風刺ばりばりの映画があるんだけど、笑えるし泣けるし、すごく青臭くて素敵なんだ、これは第二次世界大戦中の映画なんだよね、ちょうどドイツ軍のポーランド侵攻のあたり。

・本当は人生はもっと自由なはずだ!ってチャップリンはこの映画の中で言うんだ、人類はもっと仲良く出来るはずなんだ、って言うんだ。

・この映画の音声を(たぶん)サンプリングしたヒップホップの曲があるんだけど、これすごく好きなんです。毎日聴いてる。タカツキさんの『わらってくれてありがとう』という曲です、曲のサブタイトルに『夕餉のハンナ』ってついてるんだけど、ハンナってのはこの映画のヒロインの名前で、チャップリンの実のお母さんの名前。

・このPVは『独裁者』の演説シーンを使ってる。力強い演説に心を奪われてしまうよ、僕は長治さんから教えてもらったチャップリンの優しさから生まれた苦悩っていう背景を知ってるから、さらに、ぐっと来るよ。

・人に優しくするって超難しいんだぜ、やろうと思ったら簡単だけどね。ほら、僕みたいにコミニケーション不全の人間は『優しくする』=『おせっかいじゃないだろうか、迷惑じゃないだろうか、何もしない方がいいんじゃないだろうか』って思っちゃうから、優しくするって勇気がいるんだ、俺の優しさは人を傷つけるかもしれないから。

・でも、たとえば、僕が誰かに親切にしてもらえたら、逆効果でどんなに苦しくなったとしても、わらって『ありがとう』って言うと思う、言えるといいな、言わなきゃな。気持ちだけで良い、結果はどっちでもいい。

・と、思うので、チャップリンは優しい人なんだなって思った。

・面白いなあって思ったところは、アメリカの冷蔵庫がでかすぎて日本の店に入らなかった時に、『じゃあ、逆側からも開けれるようにすれば、小さい冷蔵庫でも補充出来るんじゃね?』って考えたところ。足りない部分から創造は生まれるんだねえ。

・今じゃ当たり前だものね、ドリンクの補充とか、冷蔵庫の裏側からするの、あれを最初に考えた人まじすごい。


現実入門

現実入門

・40歳ぐらいの詩人の穂村弘さんが『自分は常識とか一般の生活経験が無さ過ぎる。なので、色んなものを初体験してみよう。』っていうエッセー。合コンとか献血とか占いとか初体験する。

・実はそんなにインパクトがあるエピソードは出てこない。穂村さんは現実感覚がまったく無いわけじゃないと思う(だって、普段は会社員だしね)。

・でも、読み物として面白いなあって思ったのは、素敵なフレーズがたくさん出て来る、詩的というか小説的というか、さすが詩人だなあ。

・それを抜粋。

・『女の子が好きな男性をみつめるときのきらきらした目、それが自分に向けられるところを想像しただけで、くらくらしてしまう。あれは特別な目だ。けれども、今までの人生のさまざまな場面において、その目は常に私以外の男性に向けられていた。』

吉田松陰―松下村塾の指導者 (講談社 火の鳥伝記文庫)

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